運送業の労務管理

トラックドライバー賃上げ10%へ!

トラックドライバー賃上げ10%へ!物流2024年問題解決に期待 人手不足解消に向け、政府と物流業界が賃上げに向けた取り組みを加速 2024年4月から施行されるトラックドライバーの時間外労働規制強化。この物流業界における大きな変革は、深刻な人手不足懸念という新たな課題を生み出しました。しかし、岸田総理大臣は物流業界経営トップとの意見交換を行い、適正な価格転嫁などを通じてトラックドライバーの賃金10%前後引き上げへの期待を示しました。 物流業界全体で取り組む賃上げ 2024年2月16日に行われた意見交換会には、岸田総理、関係閣僚、物流大手経営トップが出席。物流各社は、省力化投資による労働環境改善と荷主企業との協働による運賃引き上げを報告しました。 政府による後押し 岸田総理は、物価上昇を上回る賃上げ実現への決意を表明し、特に中小零細事業者の賃上げを最重要課題と位置づけました。さらに、国が事業者に示す「標準的運賃」の引き上げや運転以外の業務への適正な対価支払いを通じ、来年度10%前後の賃上げが期待できることを示しました。 長時間労働・低賃金の実態 国土交通省の調査によると、トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均より約2割長く、所得額は約1割低い現状があります。物流2024年問題による深刻な人手不足に対応するためにも、大幅な賃上げ実現は喫緊の課題です。 期待される物流業界の未来 政府と物流業界の積極的な取り組みは、トラックドライバーの処遇改善だけでなく、業界全体の活性化にも繋がるでしょう。適正な賃金体系の構築は、人材確保による安定的な物流サービス提供、ひいては経済全体の活性化にも貢献していくことが期待されます。

デジタコで未払残業代を防ぎ、労務管理を徹底する

近年、トラック業界では長時間労働とドライバーの交通事故等の安全管理が問題視されており、国土交通省からも指導が強化されています。こうした状況下で、多くの企業がデジタコの導入を検討しています。 デジタコは、トラックの運行状況を記録する装置です。運転時間や休憩時間などを自動的に記録するため、労務管理と運行管理を効率化することができます。 現行法の貨物運送事業法では、特定の車両に運行記録計の装備が義務つけられていますが、アナログ式、デジタル式、どちらでも可という取り扱いになっています。(国交省 物流革新に向けたデジタル式運行記録計の普及促進に関する検討会の資料より) 令和5年、国交省が全国の貨物自動車運送業者を対象に、貨物自動車運送事業者の各営業所におけるデジタコの装着状況等に関する調査を実施しました。 最大積載量4t以上では、デジタコの装着率は71.7%とのことです。(国交省 貨物自動車運送事業におけるデジタコの搭載状況アンケート結果等より) 会社側にとってのデジタコ導入メリット デジタコで正確な労働時間を把握することで、未払残業代の発生を防ぐことができます。労務トラブルのリスクを低減し、企業の健全な経営に貢献します。 従来の紙ベースでの労務管理と比べて、デジタコによる労務管理は大幅に効率化されます。データ入力の手間が省け、担当者の負担を軽減することができます。 デジタコは、自動車運転に関する法令に基づいて記録を行うため、法令遵守を徹底することができます。違反による処分のリスクを低減し、企業の社会的責任を果たすことができます。 デジタコで収集された運行データは、運行状況を可視化することができます。これにより、ムダな業務を削減したり、効率的な運行ルートを計画したりすることが可能になります。 デジタコには、運転時間や休憩時間の警報機能が搭載されています。れにより、ドライバーの過労運転を防ぎ、安全運転を促進することができます。 ·デジタコは未払い残業代の証拠資料にもなる デジタコで記録されたデータは、未払残業代があった場合の証拠資料になります。デジタコデータがあれば、客観的な証拠となります。 ·労務管理を徹底し、未払残業代を防止する デジタコは、労務管理を徹底し、未払残業代を防ぐための有効なツールです。導入コストはかかりますが、長期的な視点で見れば、十分な投資価値と言えるでしょう。 そして、デジタコと給与ソフトをそのまま連携することで給与計算のミスを防ぎ効率化を図ることが可能です。 デジタコ導入を検討している企業は、補助金や助成金を活用しながらぜひ積極的に情報収集を行い、導入に向けた準備を進めてください。

免許取得費用:返還請求は認められるのか?

近年、深刻な人手不足に悩む運送業界において、免許取得支援制度を設ける企業が増えています。例えば、大型免許の取得費用は、30万前後です。 しかし、せっかく会社が費用を負担して取得した免許を活かすことなく、すぐに転職してしまうドライバーも少なくありません。 このような場合、会社は投資した費用を回収するために、取得費用を返還させることはできるのでしょうか? 結論から言えば、一概に返還を要求することはできません。返還が認められるかどうかは、「会社の業務命令」か「ドライバーの自由意思によるもの」なのかによって、結論は変わります。 1. 会社の業務命令による取得 会社が業務遂行のために必要と判断し、 ドライバーに大型免許取得を命令した場合、取得費用は会社の業務遂行に必要な経費となります。そのため、ドライバーが退職した場合でも、返還を求めることは認められません。 仮に、就業規則などで「一定期間勤務せず退職する場合には免許取得費用を返還する」旨を定めたとしても、その規程は労働基準法16条違反となります。 業務命令による取得と判断される場合の例 2. ドライバーの任意による取得 ドライバー自身がキャリアアップやスキルアップのために、 会社からの命令なく任意に大型免許を取得した場合、取得費用はドライバーの個人的な支出となります。 この場合、会社とドライバーとの間で金銭消費貸借契約を締結し、「会社がドライバーにその費用を貸し付けた」ということにして、一定期間勤務したら返還免除という形をとるのは問題ありません。 金銭消費貸借契約とは、一方当事者が相手方に金銭を貸し、相手方が一定期間後に返済する契約です。 金銭消費貸借契約による取得と判断される場合の例 しかし、一概にすべて金銭貸借契約が有効となるわけではありません。 1.返還免除基準は妥当か 免除期間が長すぎる場合は、不当拘束になり、労働基準法16条違反となりますから注意が必要です。 下記のように、段階的に免除割合を設定し、資格取得後1年~3年程度の勤務をもって全額を免除する仕組みを設けることができます。 <貸付費用免除の段階例>資格取得後の継続勤務期間 免除の割合満1年以下 ・・・免除の割合0%満1年超2年以下・・・免除の割合 1/3満2年超3年以下 ・・・免除の割合50%満3年超 ・・・免除の割合100% 2.返還額や方式は妥当か免除期間中に、退職する場合は、返還額を最後の給与から控除することが考えられますが、その場合には、ドライバーの自由意思にもとづく給与控除の合意が必要です。 運送会社における大型免許取得支援制度の導入事例 これらの制度を導入することで、会社は優秀なドライバーの確保や定着率向上を期待することができます。一方で、制度の内容によっては、労働基準法に抵触する可能性もあるので、導入にあたっては専門家の意見を聞くことが重要です